「下水」と「汚水」の違いとは?

「下水」と「汚水」、なんとなく同じ意味だと思っていませんか?実はこの2つは、インフラや環境の分野ではしっかりと区別されています。この違いを正しく理解することは、都市の衛生管理や環境保護、災害対策にとって非常に重要です。本記事では、難しい専門用語を避けつつ、図解や事例を交えながらわかりやすく解説していきます。


下水とは?

下水の定義

「下水」は、下水道法で次のように定義されています。

下水道法第2条1
生活若しくは事業(耕作の事業を除く。)に起因し、若しくは付随する廃水(以下「汚水」という。)又は雨水をいう。

つまり、「下水」とは生活排水だけではなく、道路や屋根を流れた雨水や、工場からの排水などを含めた広い意味の言葉です。

下水の主な種類

種類 内容
汚水 家庭や工場から出る排水 トイレ、台所、洗面台など
雨水 雨が地表に流れたもの 屋根、道路、駐車場などから流出
廃水 特殊施設からの水 工場排水、工事現場の排水など

汚水とは?

「汚水」とは、人の生活や産業活動によって汚れた水のことです。一般家庭からの生活排水のほか、工場などからの排水も含まれますが、雨水は含みません。

代表的な汚水の例

  • トイレのし尿
  • 台所・洗面所・浴室からの生活排水
  • 商業施設や工場の排水(産業排水)

これらの汚水は、基本的に下水処理場で適切に処理されてから、河川や海に放流されます。

※参考:国土交通省「下水道の役割」
https://www.mlit.go.jp/mizukokudo/sewerage/mizukokudo_sewerage_tk_000601.html


下水と汚水の違いを比較

比較項目 下水 汚水
含まれる水 汚水、雨水、その他廃水 生活・事業活動に由来する汚れた水
雨水を含むか 含む 含まない
主な法令 下水道法 環境基本法、建築基準法など
施設例 下水道本管、マンホール 汚水桝、浄化槽、下水処理場

下水道のしくみとは?

私たちが使った水や雨水は、下水道を通って処理場に運ばれます。その下水道のしくみは、大きく「分流式」と「合流式」に分かれます。

● 下水道の基本構成

  • 汚水管(生活排水を流す)
  • 雨水管(雨水を流す)
  • 中継ポンプ場(流れにくい場所で補助)
  • 下水処理場(最終的に水をきれいにする)

● 分流式と合流式の違い

方式 説明 長所 短所
分流式 汚水と雨水を別々の管で処理 処理効率が高い 建設費が高くなる
合流式 同じ管で汚水と雨水を流す 整備しやすい 大雨時に処理が追いつかないことも

● 関連動画でしくみを視覚的に理解しよう

吹田市動画配信チャンネル 12分でわかる下水処理 -使った水はどこへ行く?-


災害時の下水・汚水のリスク

集中豪雨の際、合流式下水道では処理しきれなかった汚水がそのまま河川に放流される「越流水」が問題になります。こうしたリスクを減らすため、国や自治体は貯留槽や雨水浸透施設の整備を進めています。


まとめ──正しい理解が安全な暮らしにつながる

  • 下水は「汚水+雨水+廃水」を含む広い概念
  • 汚水は「生活や産業活動で汚れた水」だけを指す
  • 両者の違いを理解することで、環境問題や災害リスクに対処しやすくなる

おわりに:身近な水に、もっと関心を

普段は意識しない下水や汚水ですが、その違いを知ることは、自分たちの暮らしや街を守る第一歩です。排水の使い方に気をつける、小さな水の無駄を減らす——そんな日々の行動が、未来のインフラを支える力になります。


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