VU管とVP管の違いは?塩化ビニル管の使い分けを解説!

日曜大工やリフォーム、排水のDIYでよく目にする「VU管」や「VP管」。見た目はそっくりですが、「何が違うの?」と疑問に思ったことはありませんか?

この記事では、塩化ビニル管(PVC管)の代表格であるVU管とVP管の違いや使い分け方を、図解や実例を交えてわかりやすく紹介します。はじめての方でも迷わず選べるよう、用途や注意点を丁寧に解説していきます。


塩化ビニル管とは?

PVC = Polyvinyl Chloride(ポリビニル・クロライド)

塩化ビニル管(PVC管)は、プラスチックの一種である硬質塩化ビニルを原料とした配管資材です。一般的には「塩ビ管」と呼ばれ、水道・排水・電気配線の保護など、さまざまな場面で使われています。

硬質塩化ビニルとは?

塩ビ管に使われる素材「硬質塩化ビニル」は、可塑剤(かそざい)という柔らかくする添加物を加えずに作られた、硬くて丈夫なプラスチックです。

種類 特徴 用途例
硬質塩ビ(PVC-U) 剛性が高く、腐食に強い 配管・建材・電線管
軟質塩ビ(PVC-P) 柔らかくしなやか ホース・包装材など

硬質塩ビは、JIS(日本産業規格)でVP種・VU種として定められており、住宅や施設の排水・給水設備で幅広く使用されています。


「VP」「VU」の意味を解説

「VP管」や「VU管」という名称は、それぞれの性質や用途を表す英語の略語です。

VP管とは

VP = Vinyl chloride Pressure pipe(ビニルクロライド・プレッシャー・パイプ)

直訳すると「塩化ビニル製の圧力用パイプ」。水圧に耐える構造で、給水配管やポンプによる送水など、圧力がかかる場面に適しています。

VU管とは

VU = Vinyl chloride Unplasticized pipe(ビニルクロライド・アンプラスティサイズド・パイプ)

直訳すると「塩化ビニル製の非可塑化パイプ」。硬くて軽量なため、排水や通気など、圧力のかからない用途に使われます。

種類 略語の意味 主な用途
VP管 Pressure(圧力に耐える) 給水・加圧配管
VU管 Unplasticized(非可塑化) 排水・通気配管

VU管とVP管の違い

VU管とVP管は、見た目が似ているため混同されがちですが、その性能と使い方には大きな違いがあります。もっとも大きな違いは、管の**肉厚(厚さ)と、それによって決まる耐圧性(圧力への強さ)**です。

VU管は肉厚が薄く、軽量で加工がしやすいため、住宅や施設内の排水や通気管として多く使われています。これらはすべて自然に水が流れる“重力流”の用途であり、内部に圧力がかからないため、強度を必要としません。

一方、VP管は肉厚があり、圧力に耐えられる構造になっているため、給水管やポンプを使った圧送ラインなど、内圧がかかる配管に適しています。その分、重量があり価格もやや高めですが、安全性と耐久性に優れています。

また、埋設配管においては、地中でかかる土圧や車両荷重を考慮し、VP管が選ばれるケースもあります。

項目 VU管 VP管
肉厚 薄い 厚い
耐圧性 弱い 強い
用途 排水・通気 給水・圧送
価格 安価 高価
重量 軽い 重い

どちらを選ぶ?用途別の使い分け

VU管

  • トイレやキッチンの床下排水
  • 洗濯機の排水接続
  • 雨水排水管や通気管

→ 水を自然に流す排水ラインには、軽量で加工しやすいVU管が最適です。

VP管

  • 建物内の給水配管
  • ポンプを使う送水設備
  • 散水・井戸ポンプの配管

→ 圧力がかかる配管には、強度の高いVP管を使う必要があります。


下水道工事における使い分けの実際

公共工事や下水道工事においても、VU管・VP管はそれぞれの特性に応じて適材適所で使い分けられています。

配管場所 使用される管種 理由
宅地内の排水管(勾配付き) VU管 重力流排水で圧力がかからず、安価で施工しやすい
公共桝周辺や浅層埋設 VP管 地表荷重に耐える強度が必要なため
ポンプ圧送ライン VP管 内圧がかかるため、耐圧性能が求められる

地中埋設時の注意点

  • 土圧や車両荷重がかかる場所ではVP管が推奨される
  • VU管は車道下などには不向きで、歩道下や宅地内向け
  • 場合により、さらに外圧に強い波状管や耐外圧管が選ばれることもある

こうした判断は「下水道施設計画・設計指針(日本下水道協会)」や各自治体の工事仕様書に基づいて行われます。

 ▶️【動画で見る】塩ビ管の基礎知識

VP/VUに加え、HI‑VPやHT‑VPまで含めた4種の塩ビ管を比較。用途や特徴を体系的に把握したい方におすすめです。

VP管や VU管の違い、接着剤や継手の選び方、配管のつなぎ方まで、プロが実演で分かりやすく解説。図解直後に見ることで理解がより深まります。

まとめ

VU管とVP管は、素材は同じ塩化ビニルでも「厚さ」や「耐圧性」に大きな違いがあります。選び方の基本はとてもシンプルです。

  • 圧力がかからない排水・通気配管には → VU管
  • 圧力がかかる給水・圧送配管には → VP管

DIYや住宅のちょっとした配管工事はもちろん、公共インフラである下水道工事においても、これらの管は正しく使い分けられています。

重要なのは、「水が自然に流れるか?圧力をかけて送るか?」を見極めること。さらに、設置場所の荷重条件(土圧や車両通行など)に配慮することで、破損や漏水のリスクを抑え、安全な配管が整備されます。

塩ビ管を選ぶときには、用途に応じた種類をきちんと理解して選ぶことが、コスト削減にも品質確保にもつながります。

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