ヒューム管とは何?用途や規格など解説!コンクリート管や鋼管との比較も!

道路工事や下水道工事の現場で見かける、灰色で太くてどっしりとしたコンクリート製の管。それが「ヒューム管」です。

普段の生活では耳にする機会が少ないかもしれませんが、私たちの暮らしを支えるインフラに欠かせない重要な資材のひとつです。

この記事では、**ヒューム管とは何か?どのような場面で使われていて、どんな種類やサイズがあるのか?**について、専門知識がない方にもわかりやすく解説します。


ヒューム管とは?

ヒューム管とは、**鉄筋コンクリートでできた円筒形の管(パイプ)**のことで、主に下水や雨水などの流れを通すために使用されます。特に、「遠心力成形法(ヒューム式遠心力成形)」と呼ばれる方法で製造されているのが特徴です。この製造技術は、19世紀にオーストラリアのヒューム兄弟によって考案され、製品名としてその名が残っています。

日本では昭和初期から使用されており、現在でも大口径の下水道管や雨水排水管として幅広く活用されている、定番の構造資材です。

▶️ 【動画で見る】ヒューム管ができるまで
製造過程を知りたい方は以下の動画をご覧ください。遠心力を使った成形の様子が実際に収録されています。




どのような用途で使われているの?

ヒューム管は以下のような場面で使われています。

  • 下水道や雨水排水の管路

  • 道路下の排水構造物(暗渠など)

  • 農業用排水路や河川横断部

  • 工場・施設の排水設備

これらの共通点は、大量の水を安全に地中へ流す必要がある場所です。特に都市部の下水道では、傾斜を利用して水を自然に流す「自流式」の方式が多く使われており、強度と耐久性に優れたヒューム管が重宝されています。

また、鉄や塩化ビニルなどと比べて腐食しにくく、長期間にわたって安定して使用できる点も大きな特長です。

▶️ 【動画で見る】ヒューム管の精度と品質へのこだわり
普段見えないインフラ資材でも、ここまで精密に作られていることがわかる動画です。


ヒューム管のサイズと種類

ヒューム管にはさまざまな規格があり、JIS規格(JIS A 5372)に基づいて、主に呼び径(内径)で分類されています。一般的には 直径300mm(φ300)~2000mm(φ2000)程度までのサイズが流通しています。

🔢 代表的なサイズ例:

呼び径(mm) 外径(mm) 標準長さ(mm) 重量(kg)※目安
300 約420 2000 約260
600 約750 2000 約850
1000 約1200 2000 約2000
1500 約1750 2000 約4000

※製品仕様やメーカーによって異なる場合があります。

🔍 用途別の種類:

  • 非圧管(ひあっかん):下水道など自流式用。内部に圧力がかからない系統向け。

  • 圧力管:ポンプ圧送を伴う排水設備など。

  • 耐震管:地震時の継手ずれや漏水防止機能を持つ製品。

ほかにも、内面被覆を施したタイプや、施工性を高めるスリーブ付き管などが存在します。

▶️ 【動画で見る】ヒューム管の施工方法(推進工法)
ヒューム管を地中に押し込んで設置する「推進工法」の様子が分かる技術動画です。


ヒューム管は使われなくなってきているの?

近年では、塩化ビニル管(VP管・VU管)やポリエチレン管(PE管)といった軽量で施工性に優れた素材が登場し、場所によってはそれらが選ばれるケースも増えています。

しかし、大口径の配管や高い構造強度が求められる場面では、依然としてヒューム管は重要な選択肢とされています。特に、長距離で水を流す下水道本管や、点検や補修が必要な管渠では、ヒューム管の安定した強度・耐久性が評価されています。

また、近年では耐震性能の向上や製造精度の改善も進んでおり、今なお現役で使われ続けているインフラ資材といえるでしょう。

コンクリート管との違いは?

コンクリート管との違いは?ヒューム管とよく似た資材に「普通のコンクリート管(プレキャスト管)」がありますが、

ヒューム管は、遠心力を使って密実に成形された鉄筋入りのコンクリート管で、強度や耐久性、水密性に優れた構造になっています。これに対して、一般のコンクリート管は型枠に流し込んで作られ、鉄筋がないか最小限で、密度や仕上がりにムラが出やすいのが特徴です。

そのため、ヒューム管は外圧や衝撃に強く、水漏れしにくい構造となっており、下水道など公共インフラ向けに多く使われています。コンクリート管は構造が簡易なぶん、小規模な排水路などで使用されることが多いです。

鋼管との違いは?

ヒューム管とよく比較される素材に「鋼管(こうかん)」があります。どちらも水を通す管として使われますが、性質や用途には違いがあります。

ヒューム管は鉄筋コンクリート製で非常に重く、外圧に強いのが特徴です。そのため、下水道や雨水排水など、地中に埋めて長期間使う用途に向いています。一方、鋼管は鉄(鋼)でできており、軽量で強度が高く、加工しやすいという特長があります。そのため、ポンプで圧送する上水道や、橋の下に設置するような場面で使われることが多いです。

また、ヒューム管は腐食に強くメンテナンスが少なくて済む一方で、鋼管は防食処理が必要になる場合があります。
用途や現場条件に応じて、どちらを使うかが決まるのが一般的です。


まとめ

「ヒューム管」という言葉は一般にはあまり知られていませんが、下水や雨水の流れを支える重要な役割を果たしています。

私たちの暮らしの足元、つまり道路や歩道の地下には、こうした管が縦横無尽に敷設されており、街の安全と清潔な環境を支えています。

この記事を通じて、土木やインフラに少しでも関心を持っていただけたら幸いです。

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