私たちが日常的に使用している道路や駐車場などには「コンクリート」と「アスファルト」という2種類の舗装材料が使われています。
「コンクリート」と「アスファルト」はなんとなく一緒だと思われがちですが、使用されている材料や寿命、費用、適した用途などに違いがあります。
この記事ではコンクリートとアスファルトの違いを整理して解説します。
もくじ
コンクリートとアスファルトの基本的な違い
コンクリートは、水・セメント・砂・砂利を混ぜ、セメントと水の化学反応(セメントの水和反応)によって硬化する材料です。コンクリートは硬化後に石のように非常に硬くなり、重い荷重や長期的な外力に対して安定した強度を保つことができるため、建物の基礎や橋、トンネル、擁壁など、長期間にわたって構造的な強さが求められる土木・建築構造物に広く用いられています。温度変化や乾燥による収縮によってひび割れが生じる可能性があるため、目地や配筋の設置などによってひび割れを制御することとなります。
一方、アスファルトは石油を精製する過程で得られるアスファルト(ビチューメン)という黒色の粘着性をもつ結合材に、砂や砕石などの骨材、必要に応じてすき間を埋めるフィラー(石粉)を加えて加熱混合した舗装材料です。この混合物は高温の状態では柔らかく加工しやすく、路面に敷きならして締め固めたあと、温度が下がることで一定の強度と形状を保つようになります。また、アスファルトはコンクリートのように化学反応で硬化する材料ではなく、温度によって性質が変化する粘弾性材料である点も大きな特徴です。そのため、車両の荷重や地盤のわずかな変形に対しても比較的追従しやすく、ひび割れが生じにくいという利点があります。
さらにアスファルトは近年では、既存舗装を再利用した再生骨材や再生アスファルトを活用する技術も広く普及しており、資源循環や環境負荷低減の面からも重要な材料となっています。
施工が比較的短時間で行え、部分的な補修や打ち替えにも対応しやすいことから、日本の道路や駐車場の多くに採用されています。
参考動画 アスファルトの正体、知ってますか?
https://www.youtube.com/watch?v=-O8uxsAPCTc
アスファルトの材料や成り立ちについて、動画で分かりやすく解説した資料も参考になります。舗装に使われるアスファルトがどのような性質を持つのかを、基礎から視覚的に理解できます。
見た目・寿命・費用の違い
日本でアスファルト舗装が多い理由
コンクリート舗装は長寿命で耐久性に優れる場合があるにもかかわらず、
日本の道路の多くではアスファルト舗装が採用されています。
これは材料の優劣というよりも、交通条件や維持管理の考え方が大きく関係しています。
まず大きな理由として挙げられるのが、施工後に比較的早く交通開放できる点です。
アスファルト舗装は、加熱した混合物を敷きならして締め固め、温度が下がることで使用可能になります。
そのため通行止めの時間を短く抑えることができ、交通量の多い都市部や幹線道路では大きな利点となります。
一方、コンクリート舗装は十分な強度を得るまで養生期間が必要となり、交通開放までに時間を要します。
次に、補修を短期間で行いやすいことも重要な理由です。
アスファルト舗装は部分的な傷みやわだち掘れが生じた場合でも、表面の切削や再舗装によって比較的迅速に機能を回復できます。
夜間工事など限られた時間内で作業を行う必要がある日本の道路維持管理において、
この施工性の高さは大きなメリットといえます。
さらに、舗装の種類によっては騒音低減効果が期待できる点もメリットとしてあります。
排水性舗装や低騒音舗装などの技術により、タイヤと路面の接触音を抑える工夫が進められており、
沿道の生活環境への配慮という観点からもアスファルト舗装は重要な役割を担っています。
加えて、日本は上下水道・ガス・通信などの地下埋設物が多い都市構造を持っています。
将来的な掘り返し工事への対応を考えると、再施工が比較的容易なアスファルト舗装の方が
維持管理上有利になるケースが多くなります。
このように、日本でアスファルト舗装が広く用いられている背景には主に次の理由によります。
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施工後すぐに交通開放できる
アスファルトは加熱→敷設→冷却の流れが短く、交通制限時間を短縮できます. -
短時間で補修ができる
部分的に傷みがあっても、短い時間で補修できるのは夜間施工が多い日本では重要です. -
騒音が比較的小さい
タイヤとの接触音が静かで、生活環境への影響が少ないという利点があります.
こういった点から、単に耐久性だけでなく、社会全体の運用を踏まえて舗装形式が選ばれている点が特徴といえるでしょう。
参考動画 アスファルト舗装の完成まで
https://www.youtube.com/watch?v=SqiWXeg5K5c
国土交通省の地方整備局が公開する、アスファルト舗装がどのように施工されるかを示す公式動画です。実際の工事過程が分かります。
コンクリートとアスファルトどちらが向いているか
アスファルトは、一般道路や駐車場など交通量が多く、将来掘り返す可能性がある場所に適しています。
施工後に早期の交通開放が可能で、部分的な補修や再舗装も比較的短時間で行えるため、
日常的な維持管理のしやすさという点で大きな利点があります。
また、路面の変形や沈下に対してある程度追従できる柔軟性を持つことから、
地盤条件が一定でない場所や更新頻度が高い環境にも対応しやすい舗装形式です。
このような特徴から、アスファルト舗装は短期から中期利用を想定した場所に向いているといえます。
一方、コンクリートは空港の滑走路や重量車が多く通行する場所、
長期間使用する駐車場など、高い強度と耐久性が求められる環境に適しています。
初期施工には時間や費用がかかるものの、長期的には補修回数を抑えられる場合があり、
ライフサイクル全体で見ると合理的な選択となるケースもあります。
また、わだち掘れが生じにくく、重い荷重を安定して支えられる点も大きな特徴です。
そのため、更新頻度をできるだけ少なくしたい場所や、
長期供用を前提としたインフラ施設に適した舗装形式といえるでしょう。
環境性の違いについて
アスファルトは既存舗装を再利用する技術が広く普及しており、
再生骨材や再生アスファルトとして循環利用されやすい特徴があります。
これにより、新たな資源使用量を抑えながら舗装を更新できる点は、
環境負荷低減の観点から重要な要素となっています。
一方で、施工時には加熱工程を伴うため、エネルギー消費や温室効果ガス排出への配慮も必要です。
コンクリートは製造時に比較的多くの二酸化炭素を排出するとされていますが、
長寿命で更新回数を減らせるという特徴があります。
そのため、舗装の建設から維持管理、更新までを含めた
ライフサイクル全体で評価する視点が重要になります。
近年では副産物利用や低炭素型セメントの活用など、
環境負荷低減に向けた技術開発も進められています。
このように、舗装材料の選定においては、
単純な性能比較だけでなく、供用期間や維持管理、環境負荷まで含めた総合的な判断が求められます。
まとめ
コンクリートとアスファルトは、どちらが優れているという関係ではなく、用途によって使い分ける材料です.
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アスファルト:安価で施工が早く、補修しやすいが寿命はやや短い
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コンクリート:初期費用が高いが、耐久性に優れ、長期間使用できる
どちらを選ぶかは、使う環境や期間、維持管理の考え方によって変わります.
道路や外構を観察する際に「なぜこの材料が選ばれているのか」を考えると、身近な土木の世界がより理解しやすくなります。
| 項目 | コンクリート舗装 | アスファルト舗装 |
|---|---|---|
| 主材料 | セメント+砂+砂利+水(+混和材・混和剤) | アスファルト(ビチューメン)+骨材+フィラー |
| 固まり方 | 水和反応により硬化(化学反応) | 冷却により強度を発現(物理的変化) |
| 色・外観 | 灰色で比較的温度上昇が小さい | 黒色で熱を吸収しやすい |
| 寿命の目安 | 約20〜40年以上(条件により変動) | 約10〜15年(条件により変動) |
| 初期費用 | 比較的高い | 比較的安い |
| 補修のしやすさ | 時間と費用がかかる場合あり | 容易・短時間で可能 |
| 交通開放まで | 養生期間が必要 | 早い |
| 重荷重への強さ | 強い | やや弱い |
| 環境面 | 長寿命で更新回数を低減 | 再生利用が進んでいる |
| 主な用途 | 空港・重交通路線・長期供用施設 | 一般道路・市街地・更新頻度が高い場所 |