「コンクリートで18-8-20 BBや21-8-25Nとか数字や記号あるけど何のこと?」
工事資料や配合報告書、生コンの納品書などを見ると、このような表記が並んでいることがあります。
慣れていないと暗号のように感じますが、これは生コン(レディーミクストコンクリート)の規格(呼び方)を表します。
コンクリートの性質を決める以下の4つの要素を示しています。
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コンクリートの強さ
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コンクリートのやわらかさ(施工のしやすさ)
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砂利の大きさ
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使われるセメントの種類
この記事では4つの要素である強度(18)・スランプ(8)・粗骨材最大寸法(20)・セメントの種類BBについて丁寧に解説します。特に混乱しやすい **BB(高炉セメントB種)**については、**N(普通ポルトランド)/H(早強ポルトランド)**との違いも分かりやすく整理します。
もくじ
18-8-20 BBとは?
18-8-20 BBとは生コンの注文内容(=必要な性能)を短くまとめた表記です。
生コン工場に「どんなコンクリートを持ってきてほしいか」を正確に伝える目的で使われます。
言い換えると、18-8-20 BBは次のような注文の要約です。
強度はこのくらい、やわらかさはこのくらい、砂利はこのサイズ、セメントはこの種類でお願いします
整理すると、表記の意味は次のとおりです。
| 表記 | 意味 | 何が分かる? |
|---|---|---|
| 18 | 呼び強度 | 壊れにくさ(強さ)の目安 |
| 8 | スランプ | やわらかさ(流動性)=施工性の目安 |
| 20 | 粗骨材最大寸法 | 砂利(砕石)の最大サイズ |
| BB | セメント種類記号 | 使うセメントが何か(高炉セメントB種) |
この4つは、どれが欠けても「どんなコンクリートか」を正確に説明できません。ここからは、それぞれの意味を詳しく説明していきます。
「18」呼び強度(コンクリートの強さ)
「18」は 呼び強度です。呼び強度とは一般的には、
材齢28日で目標とする圧縮強度(18N/mm²クラス)
ことを示します。
ここでいう「材齢28日」とは、コンクリートを打設してから28日経った時点のことです。コンクリートは打設直後が完成形ではなく、日数の経過とともに硬くなり、強度が増していきます。そのため「何日後の強さで評価するか」を決めており、一般に基準としてよく使われるのが28日です。
また「18N/mm²」とは、コンクリートを押しつぶす試験をしたときに、1平方ミリメートルあたり約18ニュートンの力に耐えるという意味です。数字だけでは難しく感じますが、要するに
打設して28日後に1平方ミリメートルあたり約18ニュートンの力に耐える強さをもつコンクリート
となります。
圧縮強度とは、コンクリートが「押しつぶされる力」にどれくらい耐えられるか、という指標です。コンクリートは引っ張りには弱い一方、圧縮には非常に強い材料なので、構造物として成り立たせるためにはこの強度が重要になります。
ただし、呼び強度について一番大切なのは次の点です。
強度は高ければ高いほど良い、という単純な話ではない
もちろん必要な強度を満たさないのは問題ですが、逆に、必要以上の強度を設定すると次のようなデメリットも出ます。
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セメント量が増えやすく、材料費が上がる
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条件によっては、硬化時の発熱(いわゆる水和熱)が影響し、ひび割れリスクが増える場合がある
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強度だけを追うと施工性とのバランスが崩れ、別の不具合が起きることもある
つまり、呼び強度が高ければ高いほどよい良いではなく、構造物・部位・環境条件に合わせて決めるものです。
目安として、現場でよく見る呼び強度を整理すると次のようになります(用途は一例で、発注者仕様により変わります)。
| 呼び強度 | ざっくりイメージ | 出やすい場面の例 |
|---|---|---|
| 18 | 標準〜やや控えめ | 小規模構造物、一般土木の一部 |
| 21 | 標準 | 土木で見かける機会が多い |
| 24 | 標準〜やや高め | 構造物で採用されやすい |
| 30以上 | 高め | 条件が厳しい部位、耐久性要求が高い構造物 |
ここで補足すると、「呼び強度が同じ=同じコンクリート」ではありません。たとえば同じ18でも、セメント種類(N/H/BB)、骨材の状態、混和剤、施工・養生の良し悪しで、耐久性や表面状態は変わります。強度は重要ですが、強度だけでコンクリートの品質を語れないという点は覚えておきたいポイントです。
「8」=スランプ(やわらかさ)
「8」は スランプ8cmです。
スランプは、コンクリートの「やわらかさ」「流れやすさ」を示す指標で、現場では施工性を左右するため非常に重要です。
スランプの話になると、現場ではよくこんな会話が出ます。
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「今日は硬いな」
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「回らない(広がらない)」
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「柔らかすぎて分離しそう」
これはつまり、スランプが現場の体感に直結しているからです。
そしてこのスランプは、「打ちやすさ」に関係するだけでなく、品質にも直結する点が大切です。
参考動画 スランプ試験
実際のスランプ試験を動画で見ると理解が深まります。
スランプコーンを引き上げたときにコンクリートがどう沈むのかを見れば、「スランプ8cm」がどの程度の硬さなのかが感覚的に理解できます。
https://www.youtube.com/watch?v=1cBzP5ht8mU
まず、スランプが小さすぎる(硬い)場合。スランプ8cmはやや硬めなので、条件によっては次のような問題につながります。
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型枠の隅まで入りにくい
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鉄筋のすき間を通りにくい
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締固め不足 → **ジャンカ(豆板)**の原因になりやすい
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仕上げ面が荒れやすい(部位や仕上げ方法による)
一方で、スランプが大きすぎる(柔らかい)場合にも注意が必要です。柔らかいほど打ちやすいのは事実ですが、柔らかすぎると、
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材料分離(砂利が沈む/モルタルが上がる)
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ブリーディング(表面に水が浮く)
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場合によっては品質低下
につながることがあります。
つまりスランプは、施工性と品質のバランスを取るための重要な調整項目と言えます。
目安としての使い分けは次のようになります。
| スランプ | 施工性の感覚 | 向きやすい条件(例) |
|---|---|---|
| 8 | やや硬め | 締固めを確実にできる、形状が単純 |
| 12 | 標準〜柔らかめ | 一般に打ちやすい |
| 15 | 柔らかめ | 鉄筋が密、充填性が重要 |
ここで強調しておきたいのが、スランプは「現場の都合で勝手に変えていい数字」ではないことです。受入試験で管理される項目であり、安易な加水は耐久性を落とす原因にもなり得ます。スランプは、品質を守るために決められた条件として理解するのが安全です。
参考動画 受入試験(スランプ・空気量・温度)の基本
生コンは現場に届いたらそのまますぐ使うのではなく、受入試験で状態を確認します。
代表的なのが「スランプ(やわらかさ)」「空気量」「コンクリート温度」などです。
この動画は、受入試験の流れがまとまっているので、納品書の数字が“現場の確認作業”と結びつき、記事の内容がより具体的に理解できるようになります。
スランプ・空気量・コンクリート温度の試験方法
https://www.youtube.com/watch?v=Yv8w4xisQLM
「20」=粗骨材最大寸法(砂利の最大サイズ)
「20」は、コンクリートに入っている砂利(粗骨材)の 最大寸法が20mmという意味です。
一般の方には「砂利の大きさの違いでそんなに変わるの?」と思われがちですが、粗骨材最大寸法は、施工性・充填性にかなり影響します。
粗骨材が大きい(例:25mm)場合は、ゴツゴツ感が強くなり、鉄筋が密だったり狭い部位では詰まりやすくなることがあります。一方で条件が合えば、単位水量が増えにくい方向に働く場合もあり、品質面でメリットが出ることもあります。
逆に粗骨材が小さい(例:15mm)場合は、鉄筋のすき間や細かい部位にも入りやすく、充填性が上がりやすいです。ただし、配合設計や材料の考え方が変わり、条件によってはコストや管理ポイントが増えるケースもあります。
| 粗骨材最大寸法 | ざっくり言うと | 向いているケース(例) | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 15mm | 小さめの砂利 | 鉄筋が密、狭い部位、充填性を優先したいとき | コンクリートが“まとわりやすい”反面、条件によっては単位水量やコスト面の検討が必要 |
| 20mm | 標準(最も一般的) | 土木の一般的な部位、迷ったときの基本 | 多くの工事で使いやすいが、密な配筋では詰まりやすい場合も |
| 25mm | 大きめの砂利 | 鉄筋が粗い部位、断面が大きい部位など | 鉄筋のすき間や狭い箇所では詰まり・充填不足に注意 |
5. 「BB」=セメント種類(N・H・BBの違い)
最後の「BB」は、強度でも施工性でもなく、セメントの種類を表す記号です。ここはとても大事なので、先に結論をはっきり書きます。
BB=高炉セメントB種を使用するコンクリート
同じように、末尾の記号で次が決まります。
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N:普通ポルトランドセメント
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H:早強ポルトランドセメント
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BB:高炉セメントB種
つまり「18-8-20」は同じでも、最後が違えば中身が違う=性格が変わる、ということです。
N・H・BBは何の頭文字?
N・H・BBは英単語の略のように見えますが、厳密には「英単語の頭文字」というより、セメント種類を区分するための分類記号と捉えるのが安全です。
ただ理解しやすく整理すると、次のようなイメージで覚える人が多いです。
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N(Normal):普通=普通ポルトランド
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H(High early strength):早期強度が高い=早強ポルトランド
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BB(Blast-furnace cement Type B):高炉セメントB種
特にBBは、高炉セメントが A種・B種・C種に分かれる中で、B種を指す(=Bを重ねてBB)という理解で問題ありません。
参考動画 セメントの種類
18-8-20 BBの「BB」や、末尾に付くN・Hの記号は、強度やスランプとは別にセメントの種類を表しています。
ただ、セメントの種類は文章だけだと少しとっつきにくい部分でもあります。
この動画では、セメントの種類や特徴がまとまっているため、本文で解説した**N(普通)/H(早強)/BB(高炉B種)**の違いを整理するのに役立ちます。
【土木材料の基礎(セメント)2】セメント(後編)(日本語・実在)
https://www.youtube.com/watch?v=kdP7pCk8jF0
セメントが違うと何が変わるの?
セメントは、砂や砂利を固める **結合材(コンクリートの主役)**です。種類が違うと、主に次が変わります。
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強度が出るスピード(早い/遅い)
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長期的な耐久性の方向性
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ひび割れ・発熱に対する考え方(条件による)
ここを押さえると、N・H・BBの違いがスッキリ整理できます。
普通ポルトランドセメント(N)
Nは最も標準的なセメントで、性能バランスがよく、比較の基準になります。
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強度の出方:標準
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施工性:扱いやすい
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用途:一般的な構造物全般
「迷ったらN」という位置づけになりやすいタイプです。
早強ポルトランドセメント(H)
Hは、早期に強度が出やすいセメントです。
28日強度だけでなく、初期の強度が必要な場面で活躍します。
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工期短縮(早く型枠を外したい)
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早期供用(仮設撤去・開放を早めたい)
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冬季対策(強度発現が遅れやすい時期)
などで採用されることがあります。
一方で、反応が速いということは条件によっては発熱などの管理が必要になる場合もあるため、万能というより「目的がはっきりしているときに強い」セメントです。
高炉セメントB種(BB)
BB(高炉セメントB種)は、鉄を作る工程で出る副産物である 高炉スラグを利用したセメントです。普通ポルトランド(N)とは性格が少し異なり、土木でよく採用されます。
「B種」とは?
高炉セメントには A種・B種・C種があり、簡単に言えば 高炉スラグの混合割合の区分です。
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A種:少なめ
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B種:中間(実務で非常に多い)
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C種:多め
BBの特徴(一般向けにわかりやすく)
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長期的な耐久性を意識して採用されることが多い
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強度の出方がゆっくりめになる傾向がある
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ASR(アルカリシリカ反応)対策として選ばれることがある
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河川・下水道・海沿いなど、環境条件が厳しい構造物で採用されやすい
ここで注意したいのは、「BB=強い」ではないことです。BBは強度の数字ではなく、長持ちの方向で使われることが多いセメントという理解がズレません。
土木構造物は、屋外で長期間使われ、地下水や凍結融解、塩分などの影響も受けやすい分、発注者仕様としてBBが標準になっているケースもあります。そのため現場ではBBを見かける機会が多いのです。
4要素をセットで考えるコツ
18(強度)だけ、BBだけ、スランプだけ…と単独で見ると、判断を誤りやすくなります。
コツは 4要素をセットで見ることです。
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鉄筋が密 → スランプを上げる/骨材を小さくする検討
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早期供用 → H(早強)の検討
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長期耐久性重視 → BB(高炉)の採用が多い
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形状が単純 → スランプ8・骨材20でも安定しやすい
このように、18-8-20 BBは「単なる記号」ではなく、現場条件に合わせた品質・施工の判断材料になります。
7. まとめ
18-8-20 BBは、強度(18)・施工性(8)・砂利サイズ(20)・セメント種類(BB)をまとめた、生コンのプロフィール表記です。
セメントの種類
N:普通ポルトランド(標準・基準)
H:早強ポルトランド(早期強度・工程短縮向き)
BB:高炉セメントB種(耐久性・長期性能を意識して採用されやすい)
この読み方が身につくと、納品書や仕様書を見たときに「どんなコンクリートが必要なのか」を具体的に想像でき、現場の確認や品質管理もスムーズになります。