LOD(詳細度)とは何?BIM/CIMビムシムで押さえるべき基礎をわかりやすく解説!

BIM/CIM(ビム・シム)の導入が進み、建設現場では3Dモデルを使うことが当たり前になってきました。
ただ、3Dモデルを扱う際に重要になるのが 「どの段階の業務で、どこまで信頼して使えるモデルなのか」を示す基準です。
この基準が LOD(Level of Detail:レベル・オブ・ディテール) です。

LODは「モデルの細かさ」だけを示すものに見えますが、実際には 形状をどのレベルまで表現しているかを示す指標で、業務目的に応じた活用範囲を整理するために欠かせません。

この記事では、国土交通省が公表している 「BIM/CIM取扱要領(令和7年3月)」 の内容をふまえながら、LODの基礎と実務での位置づけを分かりやすく整理します。


1. LOD(詳細度)とは?形状の詳細度”

国交省の取扱要領では、LOD(詳細度)は次のように定義されています。

詳細度とは、対象となる三次元形状データをどこまで詳細に作成するかを示す値である。

さらに、本要領では LOD=形状の詳細度(LoD) として扱うことが明記されています。

ここで注意したいのは「LoD(形状)」と「LoI(属性情報)」が分かれている点です。
LODはあくまで “形としてどこまで作り込むか” を示す指標で、属性情報の深さとは別軸で扱います。

また、地質・土質モデルについては、性質が異なるためLODの対象外となっています。

2. LOD100〜500の違いをやさしく整理(国交省基準準拠)

国交省のLODは、次の5段階で構成されています。


● LOD100:位置・範囲を示す概略モデル

  • 線や記号による簡易表現

  • 位置や存在を示す段階

  • 初期検討で大まかなイメージを共有する用途

「ここに道路を通す」「この区間を改良する」といった、場所の提示が主な役割です。

● LOD200:構造形式が分かる概略モデル

  • 標準断面などをスイープした大まかな形状

  • 基本設計や案比較で利用

  • 概略数量の算出も可能

形状はまだ簡易的ですが、全体像がつかみやすく、関係者との共有に向いています。

● LOD300:外形形状を正確に表現した詳細設計レベル

  • 外形形状を正確にモデル化

  • 設計図面と整合する精度

  • 干渉チェックや数量算出に使用可能

本体形状が確定しているため、施工前の具体的な検討にも役立ちます。

● LOD400:附帯工・配筋まで再現した施工モデル

  • LOD300に加え、附帯工や配筋も正確に表現

  • 実際の施工段取りに使えるモデル

  • 加工図レベルの精度

施工段階でのリスク低減に大きく貢献する重要なモデルです。

● LOD500:竣工状態をそのまま表現したモデル

  • 完成後の状態を正確に再現

  • 維持管理や台帳連携に活用

  • 長期的な資産管理にも利用できる

3Dの“竣工図”のような位置づけです。


3. 実務で役立つYouTube動画(すべて実在)

本文を理解しやすくするため、国交省関連を含む実在動画を活用します。

① BIM/CIMの全体像をつかむ入門動画

TAKAMIYA「BIM/CIM 工事現場情報を『見える化』!」
https://www.youtube.com/watch?v=1CHpLkjWbEI

3Dモデルが現場でどのように活かされるのか、短時間で把握できる入門動画です。

② 国交省のBIM/CIM活用事例

工事でのBIM/CIM活用事例(国土交通省)
https://www.youtube.com/watch?v=Tw5kaiacRsI

干渉チェック、合意形成、数量算出など、実例をもとに解説しています。

③ ICT施工×BIM/CIMの最新動向

ICT施工Webセミナー:BIM/CIM徹底解剖
https://www.youtube.com/watch?v=WHWTYXULT1s

施工段階でのモデル活用が詳しく紹介されており、LOD400〜500の理解が深まります。


4. なぜLODが重要なのか?(国交省基準から整理)

LODは、BIM/CIMを効率よく活用するための“共通ルール”として大きな役割を果たします。


① 用途に応じた精度を明確にできる

LODを設定することで、必要以上に細かいモデルを作る無駄がなくなり、手戻りも減ります。

② 発注者・受注者間の認識が揃う

「このモデルは干渉チェックに使えるか?」
「施工図として使える精度か?」

こうした誤解やすれ違いを防ぐことができます。

③ モデル作成コストを最適化できる

最初にLODを定めることで、過剰な作業や作り直しを避けられます。

5. LODを理解するとBIM/CIM全体の流れが見える

設計 → 施工 → 維持管理 という一連の流れのなかで、LODは「どこでどこまで作り込むべきか」という基準になります。

LODを理解すると、モデルの役割がはっきり整理でき、
BIM/CIMの活用がより効果的になります。

まとめ:LODはBIM/CIMの“共通言語”

LODは、3Dモデルの形状精度を適切に扱うための重要な基準です。

  • 業務目的に応じた精度設定

  • 認識ズレの防止

  • 作業効率の向上

  • DX時代のインフラ管理の基盤づくり

これらすべてに直結するため、LODの理解はBIM/CIMを使いこなすうえで欠かせません。

国交省の基準に沿ってLODを整理すれば、3Dモデルの扱い方がより確実になり、
建設DXの実践にもつながります。

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