処理場とポンプ場の違いは？役割や仕組みをわかりやすく解説

私たちの暮らしに欠かせない下水道インフラ。その中でも重要な施設が「処理場」と「ポンプ場」です。これらの役割や仕組みの違いを正しく理解している人は、意外と少ないかもしれません。

この記事では、処理場とポンプ場の違いをわかりやすく解説します。

下水道の基本構造とは？

下水道は、家庭などから出る生活排水や雨水を集めて、適切に処理し、自然に戻すための重要な社会インフラです。

この流れの中で、

• ポンプ場：汚水を「運ぶ」
• 処理場：汚水を「処理する」

という役割分担がなされています。

✪ 出典：国土交通省｜下水道の役割

処理場とポンプ場の違いを比較

処理場とは？水をきれいにして自然に返す

下水処理場は、汚れた水を浄化し、環境にやさしい状態で自然界に戻すための施設です。

主な処理工程

1. 沈砂池：大きな砂粒やごみを除去
2. 反応タンク：微生物による有機物の分解
3. 沈殿池：処理された水と汚泥を分離
4. 消毒槽：病原菌を除去し安全な水に
5. 放流：基準を満たした水を川や海へ戻す

💡 関連動画｜処理場の内部がよくわかる
「下水処理場のしくみ」を学ぼう！福岡県下水道公社

ポンプ場とは？水を運ぶ中継所

ポンプ場は、地形の低い場所や長距離排水区間において、下水や雨水をくみ上げて処理場や幹線管路へ送り出す施設です。下水道では通常、重力によって水を自然に流す「自然流下」が基本ですが、地形や距離の条件によってはポンプの力が必要不可欠となります。

ポンプ場が必要となる場面

• 地形が低く、処理場よりも標高が低い場所
• 長距離の輸送に中継が必要な区間
• 洪水対策として雨水を速やかに排水する必要がある地域

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下水処理場の主ポンプ紹介～汚水ポンプと雨水ポンプ～　札幌市下水道科学館

中継ポンプ場の役割とは？

広域に張り巡らされた下水道管を活用する中で、排水を一度に処理場へ送るのが難しい場合、途中で水をくみ上げ直す「中継ポンプ場」が活躍します。

💡 関連動画｜アニメで学ぶ中継ポンプ場の役割
つぶやきジローの中継ポンプ場の役割　とちぎ建設技術センター

このような施設があることで、排水がスムーズに流れ、都市の安全が保たれています。

処理場とポンプ場の関係性

ポンプ場で運ばれた下水は、最終的に処理場へ送られます。処理場では、きれいな水にしてから川や海に放流します。

このように、両者は「運ぶ」と「きれいにする」という役割で連携しており、片方だけでは下水道は機能しません。

例えるなら「工場」と「物流センター」

下水道施設を日常生活のしくみに例えると、処理場は「工場」、ポンプ場は「物流センター」と表現できます。

• 工場（処理場）：汚れた水を処理し、きれいな状態に加工する
• 物流センター（ポンプ場）：水を目的地（処理場）まで効率的に運ぶ

このように、それぞれの役割が異なりながらも、下水道という大きなシステムの中で密接に連携して機能しています。

災害への備えとBCP

自然災害による被害を最小限にとどめるため、処理場・ポンプ場では事前の備えやBCP（事業継続計画）の策定が不可欠です。

• ポンプ場の備え：停電時にも運転を継続できるよう、非常用発電機やバッテリーを設置。浸水を防ぐため、建屋のかさ上げや止水板の設置も進められています。
• 処理場の備え：地震や津波、集中豪雨などを想定したハード・ソフト両面の対策が進んでおり、応急復旧資材の備蓄や遠隔監視システムの導入なども行われています。
• BCPの整備：職員の動員計画、代替処理ルートの確保、近隣自治体との応援協定などを盛り込んだ計画を策定。災害直後からの迅速な復旧を図ります。

災害時でも安全な水処理を継続するため、各自治体では日頃から備えが進められています。

まとめ：処理場とポンプ場は「縁の下の力持ち」

処理場とポンプ場は、目立たない存在ではありますが、私たちの安全で快適な生活を支える基盤です。
本記事や動画を通じて、下水道の裏側にある工夫と仕組みに少しでも興味を持っていただければ幸いです。

下水道に関するより詳しい情報は、以下の公的機関のサイトをご参照ください：

• 日本下水道事業団
• 国土交通省 上下水道